この情報は、震災などの緊急時に、緊急避難用として自動車のバッテリーを直接利用しインバータを介してAC100V機器を使う方法とその際の注意点をまとめたものです
この作業にはリスクを伴います。やむをえない必要があって作業に着手する場合は、自分の技術レベルを熟考し、十分換気、感電などに注意の上、下記のようなリスクを承知の上で自己責任において行ってください。
バッテリーの状況や周囲環境、または使用者の熟知度によっては、 とても危険な行為です。
1)水素を発生し使用状況によっては危険。
2)ぬれた手などで取り扱うと感電死する恐れ。
3)周りに可燃ガスが漏れているとスパークにより爆発の恐れ。
4)ショートなどの過電流時にバッテリー内部が溶損して内部の水素ガスに引火して破裂する恐れ
5)バッテリー液が目に入ると失明
矩形波(出力波形が正弦波でない)インバータは、脈拍や呼吸、循環などのタイミングを要する機器(精密な電源周波数が必要)、検査機器(基準となる正弦波が必要)、長時間安定した動作が必要な機器(安定性/耐久性が必要)には適さない場合があります。
機器とインバーター両方の仕様を確認し、両方とも動作条件に適合していない限り、患者に致命的な危害を与える可能性があります。
安全性を確認できないままやみくもに使用するのは避けてください。
この情報は、注意事項も含め、すべてを正確に伝えるようにしてください
矩形波インバータ(出力波形が正弦波でないもの)は、次のような機器に使用できません:
タイマーや計測器など精密な周波数を必要とするもの/測定器など正弦波でしか使用できないもの/電子制御毛布など位相制御を利用したもの/インバータ式やラピッドスタート式の蛍光灯
出力周波数(50Hz/60Hz)が設定できない(55Hz出力など)、あるいは単に周波数精度の低いインバータでは、接続する機器の周波数判定が機能しないなどの理由で動作しない場合があります。
インバータの対応できる消費電力(定格/最大)を確認し、その範囲内の機器で使用してください
機器によっては最大消費電力が定格消費電力の数倍になります(グロースタート式蛍光灯は蛍光管W数の2倍、ブラウン管TVは5倍、ポンプ・コンプレッサーなどモーターを使うものは10倍が目安)
性能以上の負荷をかけないよう十分配慮してください。性能以上の負荷をかけるとヒューズが飛びます。突発的な状況により、ヒューズが飛ぶ可能性は常にありますので、必ずヒューズ交換の準備もしておいてください
民生用のものは信頼性、耐久性の点で注意が必要です。
その他、インバータと使用する機器の注意事項を必ず確認してください使用可能時間は、バッテリーの容量と充電状況、使用するインバータやつなぐ機器によって変わります。
50Ahフル充電バッテリーで消費電力100W機器の場合で3時間程度が一つの目安です(計算式は最後に)
★被災した車に近づくのは危険です。とくに水没した開放型バッテリは内部まで水につかるため使えませんので、わざわざ危険を冒さないでください。
車のバッテリー(店頭にある新品バッテリーも充電済みなのでそのまま使用可)
DC12V(車のシガーソケット)からAC100Vを取り出すインバータ(最大/定格出力、対応機器などの仕様に注意)
配線ケーブル2本(抵抗による電流の不足や発熱を防ぐため、できるだけ太い電線を用いることを推奨)
10mmまたは12mmのスパナ(モンキースパナでも可)
0:ボンネットを開けてバッテリーを確認。万一、水没していたり破損している場合は使えない可能性が高い。
1:キースイッチを切る。キースイッチが切れた状態であってもバッテリーが接続されていれば、常にバッテリーの電流は流れているので注意
2:マイナス側の配線を外す。黒い端子の方。ボルトを緩めるときに、スパナが車体に触れないように注意すること。
3:プラス側(赤い端子の方)を外す。赤いゴムカバーが被さっているので、それを手ではがしてから、ボルトを緩めて配線を外す。
4:ステー(固定金具)を取り外す。ステーはバッテリ側と車体の二カ所でボルトで留まっているので、両方とも外す。
5:両手でバッテリを持って引き上げて取り外す。
1:インバータ付属のバッテリ直結ケーブルがある場合は、必ずそちらを仕様に従って使用してください
車両のシガーソケットに差し込むプラグの場合は、先端の丸い金属がプラス、その横に長い金属がマイナス。この部分(端子)に何かの配線ケーブルを巻き付けて引き出す。
2:プラス側(先端)からの配線ケーブルを間違えないようにバッテリーのプラスにつなぐ。
3:マイナス側(横)からの配線ケーブルを間違えないようにバッテリーのマイナスにつなぐ。
普通の車のバッテリーは、横倒しにするだけで液漏れの危険があります。安定した水平な場所に置き、倒れないように固定してください。その際、上面にある水素抜きの穴をふさがないように注意してください。
バッテリー液は希硫酸のため触れるとやけどしますから、万一液が手や衣服についた場合は、すぐに大量の水で洗い流してください。あらかじめ水を用意しておきましょう。
使用中には水素が発生します。スパークする危険があるので配線の着脱は使用中はせず、使用を止めすこし時間をおいてから着脱してください。換気には気を配りましょう
配線ケーブル2本が入手できない場合は、車両のシガーソケットに差し込むプラグをばらして、ケーブルを直につなぐことも可能です。その場合、プラグ内に機器を保護するヒューズがあるので、必ずヒューズを生かしてプラグ側で接続してください。
水や電気を通さない作業用手袋(感電や硫酸やけど防止用)を着用することも有効です。
バッテリを使い切ると再充電しても使えなくなることがあります
(Ah×0.7×12×0.8)÷W=持続時間h
バッテリーの5時間率容量=Ah
接続機器の定格消費電力=W
バッテリー電圧=12V
AC100Vコンバータの変換効率=80%(仮定)
バッテリーの放電限界深度=70%(仮定)
バッテリ満充電50Ahのとき(50×0.7×12×0.8=336)
消費電力20W→16.8h(16時間48分)
消費電力100W→3.36h(3時間21分)
消費電力200W→1.68h(1時間40分)
消費電力300W→1.12h(1時間7分)
これは20℃1気圧で安定した理想環境下でのでの理論(上限)値です。定格消費電力だけしか考慮していませんので、機器により2倍から10倍以上になる最大消費電力が加わり、実際の使用時間はもっと短くなります。
【緊急避難】自動車バッテリーを電源として使う
櫻井知久 carbattery_use@me.com